言語起源の仮説(そもそも言語はいつできたのか)
言語の起源は、人類学、言語学、生物学、心理学など、多くの分野で研究されている非常に難しく、答えの出ていないテーマです。
現在、有力とされる主な仮説や考え方には、以下のようなものがあります。
🎤 主な言語起源の仮説
研究者によって様々な説が唱えられており、大きくは**段階的に進化したとする説(漸進説)**と、**ある段階で比較的急に生まれたとする説(跳躍説/断続説)**に分けられます。
1. 歌起源説 (言語の歌起源説)
概要: 言葉の起源は、求愛や集団の結束を促すための**歌(メロディーやリズム)**のような、分節化されていない発声にあったとする説です。
提唱者: 岡ノ谷一夫氏ら(相互分節化仮説)。
ポイント: テナガザルなどが状況に応じて異なる「歌」を歌うことからヒントを得ており、意味(状況の分節化)と音(音列の分節化)が組み合わさることで言葉が成立したと考えます。
2. ジェスチャー起源説
概要: 最初期のコミュニケーションは、身振り手振り(ジェスチャー)が中心であり、それが徐々に音声言語へと移行していったとする説です。
根拠:
ヒト以外の霊長類でも、手や腕の動きは発声よりも意識的に制御できること。
手話と音声言語が脳内で共通の領域(ブローカ野など)を活性化させること。
二足歩行により手が自由になり、多彩なジェスチャーが可能になったこと。
3. 単語起源論・漸進説 (自然淘汰による進化)
概要: 動物の持つコミュニケーション能力が自然淘汰によって徐々に複雑化し、まず単語(語彙)が生まれ、その後文法が生まれたとする、比較的伝統的な考え方です。
提唱者: スティーブン・ピンカー氏ら(漸進説)。
ポイント: 言語は、視覚器官としての「目」のように、自然選択によって段階的に進化してきた適応の産物であると考えます。
4. 前適応・準備説 (既存機能の組み合わせ)
概要: 言葉とは直接関係のない複数の機能(例えば、歌の能力、運動の制御能力、認知能力など)が、特定の段階で組み合わさる(前適応)ことで言語が創発的に生まれたとする説です。
提唱者: 岡ノ谷一夫氏らもこの考え方(準備説)を採用しています。
🕰️ 言語獲得の時期
ヒトがいつ頃、現在の言語に近い能力を獲得したかについても議論がありますが、喉頭の構造や化石、石器などの文化的発展の痕跡から推測されています。
初期の段階(ホモ・ハビリスやホモ・エレクトゥス): 原始的な形のコミュニケーション(原形言語)を持っていた可能性が指摘されています。
約10万年前以降(ホモ・サピエンス): 喉頭が降下し、多様な発声が可能になったこと、また象徴的な思考の証拠(芸術など)がこの頃から見られることから、現代の言語に近い複雑な言語能力が獲得されたと考えられています。
スペイン語で人生を変えよう
Think different