スペインと南米のスペイン語の違い

スペイン(主にカスティーリャ地方)と南米のスペイン語は、同じ言語でも発音・語彙・文法・ニュアンスにいくつかの大きな違いがあります。
ざっくりいうと、「東京の標準語」と「関西弁」くらいの違いはありますが、お互い理解は可能です。


1. 発音の違い

項目 スペイン(カスティーリャ地方) 南米(多くの地域)
c, z の発音 「θ」(英語の think の th の音)に近い
例: gracias → 「グラθィアス」
「s」と同じ音
例: gracias → 「グラシアス」
ll, y の発音 「ʝ」または「y」に近い(地域差あり) 多くの国(アルゼンチン・ウルグアイなど)では「ʒ」や「ʃ」(フランス語の j や sh に似た音)になる (yeísmo)
s の発音 はっきり発音 カリブ海沿岸や南米南部では語末の s を弱く発音、または省略(例:más o menos → 「マー・オ・メーノ」)
全体のリズム 音が少し速く、強弱がはっきり ゆっくりめで、母音を伸ばす傾向(国による差大)

2. 語彙の違い(例)

意味 スペイン 南米(例)
coche carro / auto
携帯電話 móvil celular
ジュース zumo jugo
パソコン ordenador computadora
ストロー pajita sorbete / bombilla(国による)

3. 文法・敬語の違い

  1. 二人称単数

    • スペイン:(くだけた言い方)と usted(丁寧)

    • 南米:同じく usted を使うが、国によっては vos(アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイなど)が一般的(voseo

  2. 二人称複数

    • スペイン:vosotros を日常的に使用

    • 南米:ustedes を丁寧・くだけた場面どちらでも使用(vosotros はほぼ使わない)

  3. 時制の違い(完了形)

    • スペイン:現在完了形(he comido)を日常的に使う

      Hoy he comido paella.(今日はパエリアを食べた)

    • 南米:単純過去形(comí)を使うことが多い

      Hoy comí paella.


4. ニュアンス・文化的背景

  • スペインのスペイン語はヨーロッパらしい直線的な物言いで、会話スピードも早く感じることが多いです。

  • 南米のスペイン語はイントネーションが柔らかく、ゆったりして聞こえることが多いです(もちろん国や都市によって全く違います)。

  • アルゼンチンはイタリア語の影響、カリブ地方はアフリカ系や英語の影響が強く出ています。

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